令和3年第1回定例会が2月17日に開会しました。本定例会では、令和3年度一般会計当初予算(案)7兆4,250億円をはじめ、補正予算や条例案などを審議します。2月24.25.26日に本会議が開かれ、代表質問・一般質問が行われました。私、たきぐち学は25日に、今期3回目の一般質問に登壇しました。
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   新型コロナの感染拡大を受け、都は、昨年6月に従前の東京ルールとは別に、「新型コロナ疑い患者の東京ルール」の運用を開始しました。以降、コロナ疑いの救急搬送困難事案についても、合算値として日々公表され、一昨年の1日あたりの東京ルール件数が平均約25件であったのに対して、今年1/12には160件に達するなど、緊迫した医療環境が続いています。改めて、この間、全力で救急患者の対応にあたられてきた救急隊員および医療関係者の皆さまに感謝申し上げます。
   東京ルールでは、救急患者の円滑な受入体制の強化と同時に、救急車など限られた医療資源を適正に利用するため、救急相談センター(#7119)の推奨など都民への理解を促していますが、昨年の速報値では、#7119の認知率は低下、受付件数も減少しています。コロナ禍における外出抑制や医療機関への受診控えなどが、救急の現場にどのような影響を及ぼしているのか。
Q1.都民の行動変容が、医療資源を共有財産としてとらえる、継続的な意識変容に結びついていくことが重要です。まずは、数値に表れる実態を共有・分析し、適正利用や新たな感染症対策など次なる施策につなげていくべきと考えますが、昨年の救急活動の現状と対応について、消防総監に伺います。

   東京ルール事案の発生件数は、平成23年の約1万4,000件から29年には約6,000件に半減するなど、効果が表れています。しかし、再び増加基調に転じており、その要因の一つとして、高齢者の救急搬送の増加が背景にあると考えられます。このため、東京都保健医療計画に基づく進捗状況評価では、東京ルール事案の救急搬送の割合、二次保健医療圏の圏域内の受入率とも、目標に対する達成評価は低いのが現状です。圏域ごとに地域特性があり、各地域救急会議で検討していく必要性については、従前から指摘されており、
Q2.二次保健医療圏をベースとしながらも、医療圏にとらわれず、都全体で捉えていくべきとする議論もあると認識していますが、これまでの議論を踏まえ、今後の救急医療体制を確保してくべきと考えますが、都の見解を伺います。

   日本医師会は、今月5日に「緊急事態宣言下の心血管病診療に関する緊急声明」を発表しました。
   例年、気温が下がる12月~2月は、心血管疾患による救急搬送が増加しますが、新型コロナの第3波下において、緊急心血管疾患による救急搬送困難事例が続出、また、著名なお笑い芸人は脳血管疾患で救急搬送されましたが、受入れ先決定までに時間を要したと報じられました。私事ですが、私の妻も昨年11月に同様の事態に直面いたしました。
Q3.各医療機関において、医療従事者の配置転換や病床転換など厳しい対応が求められる中で、都民の命を守るためには、こうした循環器救急医療のひっ迫による救命率の低下は何としてでも防がなければなりません。知事の見解を伺います。

   昨年の犯罪情勢統計では、刑法犯の認知件数は61万4,231件と戦後最少を更新しました。一方、児童虐待やDVの通報・相談は増加、また、薬物事犯についても、8月以降、前年を上回り、増加件数も拡大する傾向を示しています。
   私自身、保護司として、覚せい剤、危険ドラッグ、大麻などの動向について、関係者からお話を伺う機会がありますが、「ゲートウェイドラッグ」とも言われる大麻の摘発件数は、近年増加傾向にあり、(大麻を初めて使用した年齢は、20代以下が86.5%を占めるという調査もあり)、若年層への対策が大きな課題となっています。
   さらに、近年は、咳止め薬など、市販薬や処方薬への依存も指摘されており、ネット上で隠語が使用されながら様々な情報が出回り、不正販売への対策も求められています。
Q4.大麻取締法に「使用罪」の導入が検討されている一方で、コロナ禍で、ステイホームを強いられる中、大学に行けない、収入が減った、ストレスがたまる、そのはけ口として大麻に手を出す事例が増えていることが推測されます。大麻、さらに市販薬の不正使用へと手を染めないための方策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

   覚せい剤の使用歴がある受刑者を対象にした法務省の実態調査で、女性の約7割が「交際相手や配偶者などからDV被害を受けたことがある」との結果が明らかになりました。再犯防止には、薬物依存だけではなく、その背景までとらまえた多角的な支援が求められます。
   コロナ禍におけるDV相談件数は、内閣府の調査で、昨年4月から12月で14万7千件を超え、前年同期比約1.5倍と急増しています。
   支援団体の関係者からは、諸外国と比較した日本のDVに対する認識の遅れやDV防止法で定義された保護要件が実態と合わなくなっている現状などに対して、ワンストップ窓口の設置や相談員の専門性向上を求めるなど、強い危機感が伝わってきます。
   DV被害者支援においては、身体的・性的暴力だけではなく、精神的暴力に対しても、相談から一時保護、自立支援など、官民一体となった様々な専門的な機関が連携することが重要です。
Q5.都は、我が会派の要望を受け、1ヵ月間のLINE相談を試行し、多くの相談が寄せられましたが、こうした状況を踏まえ、相談体制を強化するとともに、民間団体とも連携した着実な支援につなげる体制のもと施策を展開すべきと考えますが、見解を伺います。

   目黒区、野田市での児童虐待事件は、ともに配偶者によるDVが背景にあったことが明らかになっています。昨年4月の改正児童虐待防止法では、児童相談所、女性相談センターの連携強化が明記されましたが、両機関における連携、情報共有が進んでいない実態が指摘されており、介入や対応などの考え方やアプローチの仕方が異なることもその一因と言われています。
   江戸川区では、児相に民間団体のDV相談員が週3回配置され、虐待と女性相談との情報共有を図る取り組みが始まっています。
Q6.コロナ禍で児童虐待・DVの通告・相談がともに過去最多となっている実態を踏まえ、子ども側、親側、双方からのアプローチによる取り組みが極めて重要です。
都において、DVと虐待が両方疑われるケースについて、関係機関が連携し、対応を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

   長引くコロナ禍において、家庭内での虐待、ネグレクト、家族へのモラハラなどが顕現化しつつある、との声が教育現場からも届きます。児童生徒の自殺が過去最多、高校生の3割に「うつ症状」が見られるなどの調査結果が明らかになる中で、児童・生徒の年齢層に応じたメンタルヘルスの実態把握と対策が急務です。
   都は、スクールカウンセラーを全公立学校に派遣しており、26区市では、独自での配置も実施しています。現場からは、派遣回数の増加を望む声がある一方、カウンセラーの能力に差があり、区市派遣と比較して処遇に恵まれたスクールカウンセラーの資質の課題を指摘する声を以前より耳にします。
Q7.臨床心理士や精神科医などの資格を有するスクールカウンセラーが、専門家としての知見を活かしながら、教員との意思疎通が図られ、個々の児童・生徒に的確に対応した指導・助言を行うことができる人材の質を確保していくべきと考えます。見解を伺います。

   宮坂副知事の発案で、都庁内に自転車部が創設されたと聞きました。私の地元荒川区は、かつて「西の堺、東の荒川」と称されたほど、自転車関連企業が集積したまちであり、かくいう私も「かくれサイクリスト」で、定期的に荒川河川敷のサイクリングロードを走り、自転車で登庁したことも複数回あり、都庁舎の駐輪場整備の必要性を感じているひとりです。
Q8.コロナ禍で、自転車利用が拡大する中、都が進めている自転車活用推進計画の改定にあたっては、自転車の安全性や回遊性を高めるため、一層の通行空間の整備を推進するとともに、地区ごとの特性に応じて集中的に先行整備するなど、都として自転車の活用をさらに後押しすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

   全国的に広がりをみせるシェアサイクル事業は、都内20区9市で実施されています。自転車シェアリングの利便性を高めるためには、ポートを拡充することが必要ですが、現在、公共用地への設置は、事業者が自治体と連携している場合以外は認められていません。国は、令和3年度税制改正でシェアサイクルポート設備への税の軽減を打ち出すなど、全国的に機運は高まりつつあります。
 新しい生活様式の実現に向けた「MaaS」への移行を促進するためにも、都バスや地下鉄、JRなど公共交通機関の拠点からのラストワンマイルの移動を担保する環境づくりが重要です。 一方、
Q9.広域利用の観点からは、ドコモ系12区、ソフトバンク系8区7市をはじめ、多くの事業者がサービスを提供しており、台数はロンドンやニューヨークと肩を並べる規模となっているものの、運営会社が異なることから利便性に課題があります。利用者の利便性向上を図るためにも、事業者間の連携を強化し、さらなる広域利用を推進すべきと考えますが、見解を伺います。

   最後に地元の生活と社会経済を支える水道、下水道について伺います。
   荒川区では、昭和50年代まで、区部北東部地域の給水所が不足しており、金町浄水場から直接、広大な排水区域に給水を行っていたため、事故などが発生した場合には、その影響が広範囲に及ぶ状態が続いていました。
   このため、水道局は、4つの給水所整備を進め、配水区域の再編を行ってきており、荒川区においても給水の安定性は向上してきていますが、給水所整備はいまだ道半ばであります。
Q10.現在、水道施設整備マスタープランを策定中ですが、人口減少時代を見据えた水需要予測に基づく施策の推進と、災害をはじめとする様々なリスクに備えた施設整備を進めていくことが求められます。こうした観点を踏まえ、荒川区の給水安定性の一層の向上に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

 荒川区には、国内最初の近代的な下水処理施設である三河島汚水処分場として運転を開始した、現在の三河島水再生センターがありますが、抜本的な再構築が必要となる時期を見据え、稼働させながら、台東、文京、豊島の下水を集める、三河島処理区における下水道機能を安定的に確保しなければなりません。
   策定中の「経営計画2021」で東尾久浄化センターの整備着手が示されましたが、三河島水再生センターの上部が「荒川自然公園」として区民に親しまれているように、
Q11.東尾久浄化センターの整備にあたっても、隣接する都立尾久の原公園や隅田川のスーパー堤防と一体感のある公園利用を図るなど、地域住民の理解を得ながら進めていくことが必要です。東尾久浄化センターの水処理施設について、その整備効果を伺い、私の質問を終わります。