小池百合子 知事 たきぐち学議員の一般質問にお答えいたします。
 リスクコミュニケーションについてのご質問がございました。
 都民が誤った情報に惑わされることなく、感染症を正しく恐れ、予防に向けた適切な行動をとるためには、収集した情報に専門家の知見もいただきながら、わかりやすいメッセージを発信することが重要です。
 都は、新型コロナウイルス感染症対策サイトで患者の発生動向や検査の実施状況を毎日公表いたしております。私自身も、直接、動画により都民の皆さんへ最新の情報をお届けするとともに、感染防止策の徹底をお願いいたしております。感染の状況を正確に把握をして、速やかに発信することで、都民の感染予防や不安の払拭につなげてまいります。
 次に、休業要請の判断でございます。
 都は、新規感染者数や入院患者数などを初めとした七つの指標につきまして、日々モニタリングすることによって、感染拡大の兆候、そして医療提供体制の確保の状況など随時把握をしまして、必要に応じて休業要請の緩和や再要請の判断を行うことといたしております。
 昨日の新規感染者数は三十四人でございました。病院の集団感染の影響があるとはいえ、警戒すべき水準であるため、審議会の意見も踏まえまして、東京アラートを発動したところでございますが、これによって休業要請の緩和のステップが戻るものではございません。
 今後、複数の感染状況の指数の数値が再要請の目安を超えた場合には、医療提供体制などの指標も勘案しながら、審議会の意見も踏まえまして総合的に判断をしてまいります。
 東京アラートの発動に伴いまして、都民、事業者への新しい日常の実践を呼びかけることなどを通じまして、感染拡大の防止に努めてまいります。
 次に、区市町村との情報連絡体制の強化についてでございます。
 大規模災害の発生時におきましては、現場の第一線で災害対応に当たる区市町村とさまざまな情報を共有して、迅速に対応することが重要であります。
 昨年の台風十九号では、多摩と島しょ地域にあらかじめ情報連絡要員、いわゆるリエゾンを派遣いたしまして、被害や避難に関する情報の収集やニーズの把握などを行って、市町村からは高い評価をいただいたところでございます。
 このため、ことしの出水期からは、大型の台風が東京地方に接近する際には、早い段階から区市町村との協議を行って、必要に応じまして都内全ての区市町村に都の職員を派遣する体制を整えて、初動の対応に備えてまいります。
 今後は、より実践的な研修の実施などによって、派遣職員の災害対応力を向上させるとともに、区市町村と連携した訓練を実施して、都と区市町村との連絡体制の強化を図ってまいります。
 こうした取り組みを通じまして、区市町村との緊密な連携のもとで、いつ発生してもおかしくないさまざまな危機に対しましても、東京の総力を挙げて万全を期してまいります。
 その他のご質問につきましては、関係局長からのご答弁とさせていただきます。

内藤淳 福祉保健局長 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、感染症情報の共有についてでございますが、感染症対策を的確に実施するためには、患者情報や感染状況を正確かつ迅速に把握することが重要でございます。今回の新型コロナウイルス感染症の流行では、患者数が急増する中で、保健所と都の双方の業務が増大し、情報の確認や共有などが滞る状況も生じました。
 このため、都は、特別区や八王子市、町田市を含む各保健所に職員を派遣して業務支援を行うほか、患者情報のデータベースを整備いたしました。
 このデータベースや、医療機関の参加も予定される国の新たな情報共有システムも活用するとともに、これまでの情報管理方法を検証し、都と保健所の業務を整理した上で、サーベイランスのマニュアルを見直し、都における情報管理体制を強化してまいります。
 次に、健康安全研究センターについてでございますが、健康安全研究センターは、地方衛生研究所として科学的かつ技術的中核拠点の機能を有しております。
 今般の新型コロナウイルス感染症の流行下におきましては、速やかに検査体制を構築し、各保健所からの依頼に応じて濃厚接触者等の検査を実施するとともに、集団感染事例に対し、医師や保健師を中心とした東京都実地疫学調査チームを派遣し、速やかに原因究明等を行ってまいりました。
 今後、民間検査機関や医療機関等への支援により、民間の検査体制を拡充しながら、センターは、民間検査機関では困難な病原体検査や、これまでの調査研究で蓄積した知見を生かした疫学情報の分析や発信、最前線で活躍する保健所の人材育成など、都の感染症対策を科学的、技術的に支える役割をしっかり発揮してまいります。
 次に、情報の公表基準についてでございますが、感染症対策におきましては、都民の不安が増大しないよう、感染者の発生に関しましては、個人情報等に配慮し、一定基準に基づいた情報を発信していくことは重要でございます。
 国は、一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表に係る基本方針を示し、新型コロナウイルス感染症を含む一類感染症以外の感染症につきましても、これを参考にしつつ、適切な情報公表に努めるよう各自治体に通知いたしました。
 都は、地方自治体による感染症情報の公表に関して、各自治体の判断に任せるのではなく、統一的な公表基準等を示し、広く周知することを国に対して要望しているところでございます。第二波に備え、他の自治体が公表する際の参考にもなるよう、都としての公表基準を整理してまいります。
 次に、感染症専用医療機関についてでございますが、今後予想されます第二波に向け、病床につきましては、感染拡大の状況に応じ、最大で重症者用七百床、中等症用三千三百床、合計四千床を確保することとしております。
 それでもなお感染者が増加し、病床が逼迫する事態となった際に備え、中等症患者を中心に受け入れる臨時的な専用医療施設を確保するため、準備を開始いたします。
 今月から、候補となる施設、患者の症状に応じた設備や機器、院内感染防止のための施設内ゾーニング、人員体制、施設の維持管理に係る業務等につきまして、検討に当たっての調査に着手いたします。
 次に、宿泊療養施設についてでございますが、入院治療が必要のない軽症者等につきましては宿泊療養施設での療養が基本とされており、都は、新型コロナ外来や保健所において、リーフレット等により都民等に周知徹底を図っております。
 また、一部の施設では、清掃用ロボットを活用し、効率的に快適な空間を維持するとともに、運営スタッフと入所者との接触を可能な限り低減するように努めております。
 さらに、入所者の健康状態を把握するための電話による体温確認や健康観察アプリの導入により、業務の効率化も図っております。
 今後、アプリの全面導入やオンラインによる対面での聞き取りも含め、さまざまなICTの活用による効果的、効率的な手法について検討してまいります。
 次に、介護事業所のICT導入支援についてでございますが、都は現在、介護記録の作成等、訪問介護事業所の業務効率化のため、タブレット端末の導入等を支援しております。
 国は、新型コロナウイルス感染症に係る臨時的な取り扱いとして、電話等による病状確認や療養指導、報酬加算要件であるリハビリ専門職の定期的な会議におけるテレビ電話機能の利用等を認めることといたしました。
 都は、こうした国の動きを踏まえつつ、事業所が新型コロナウイルスの感染リスクを軽減しながらサービス提供を継続できるよう、補助対象を全サービス種別に拡大するとともに、補助基準額を現在の百万円から、事業所の規模に応じまして最大約三百四十万円に引き上げるなど、介護事業所におけるICT機器の導入を促進してまいります。
 最後に、オンライン診療についてでございますが、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、国は時限的、特例的な対応として、医師が医学的に可能と判断した範囲で初診からのオンライン診療を認めることといたしました。
 都はこれまで、東京都医師会とかかりつけ医等がオンライン診療に取り組みやすい環境の整備に向けて協議を行い、この四月に、情報通信機器等の初期導入経費の補助を都独自に開始いたしました。
 また、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」を通じて、オンライン診療を実施している医療機関の情報を広く提供しております。
 今後、国はオンライン診療の実用性や実効性を検証することとしており、都はその結果も踏まえながら、オンライン診療に取り組む医療機関を支援してまいります。

寺崎久明 戦略政策情報推進本部長 先端技術の活用についてでございますが、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図っていくためには、配送、清掃、案内など、さまざまな分野で最新のデジタルテクノロジーを取り入れていくことが重要でございます。
 都では、先端技術の活用を支援してきたノウハウを生かし、先月開設した宿泊療養施設において、ロボットや健康管理アプリケーションを導入いたしました。今後さらに活用の場を広げていくため、ホテルや福祉施設等での導入を想定した実証実験を新たに実施してまいります。
 また、非接触等のニーズの拡大を見据え、商業施設等において、例えばエレベーターと通信して自律的にフロアの移動を行う配送ロボットなど、スタートアップ等が有する技術の実用化を支援してまいります。
 これらの取り組みを通じ、第二波に備えますとともに、新しい日常の定着に向けまして先端技術の活用を一層推進してまいります。

遠藤雅彦 総務局長 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、特定業種への休業要請についてでございますが、都道府県知事は、クラスターが発生した際は、当該業種や業態について、いわゆる特措法第二十四条第九項の規定に基づく施設の使用制限等の協力の要請が可能でございます。
 しかしながら、現状では、特定の業態に関する感染者が多数発生した場合であっても、当該業態に限定して休業要請を行うことや、特定の店名等を公表することの法的リスクは高くなっております。
 今後、クラスターが発生した具体的な業態などを分析し、それらが明らかになった場合には、店名を公表するなどの方策を検討していくとともに、これらの課題を整理し、国への要請などの検討を進めるとともに、特措法の機動的な適用に努め、感染拡大の防止を図ってまいります。
 次に、風水害時の避難先確保に向けた取り組みについてでございますが、都は昨年の台風第十九号などの検証を踏まえ、風水害時の避難先を拡大するため、都立施設の活用を図ることといたしました。
 そこで、全ての区市町村に対し、緊急避難先として活用を希望する都立施設の調査を行ったところ、都立学校など百二十八の施設についての活用の希望がございました。そのため、希望のあった施設ごとに浸水リスクやセキュリティーなどの活用上の課題を聴取した上で、協定書のひな形とあわせて区市町村に提供いたしました。
 あわせて、区市町村と施設管理者間の早期の協定締結や、発災時の円滑な施設運営が可能となるマニュアル等の整備を促すことで、風水害時の避難対策の強化に向けた取り組みを一層加速してまいります。
 次に、ホテル、旅館を活用した避難所確保についてでございますが、今後発生が想定される自然災害は多岐にわたっており、その種別や被害の状況によっては、既存の避難所だけでは避難者の受け入れ先が不足する場合も想定されます。また、新型コロナウイルス感染症の対応を進める中、複合災害による感染リスクを避けるためにも、より多くの避難先の確保を図る必要がございます。
 このため、都は、ホテル等を避難所として活用する区市町村の取り組みを支援するため、あらかじめ費用負担など活用に関する基本的条件を整理するとともに、発災時に避難所が不足した場合にもホテルを活用できるよう、宿泊団体と包括的な協定を締結してまいります。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、区市町村による円滑な避難所の確保を支援してまいります。

安藤俊雄 消防総監 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水災時の消防団活動についてでございますが、昨年発生した台風十九号では、水防第三非常配備態勢が発令され、浸水区域における住民の避難誘導を初め、土のうによる浸水防止活動や排水活動などに多くの消防団員が従事いたしました。これを踏まえて、大型台風接近時におけるより安全かつ効率的な消防団活動を行うため、当庁では、消防団員の参集及び活動内容等について検証を行っております。
 今後は、気象情報や警戒レベル及び災害発生状況に応じた段階的な参集、任務班の編成、消防署と連携した具体的な活動内容を盛り込んだ計画を作成するなど、水災時における効果的かつ効率的な消防団活動ができるよう取り組んでまいります。
 次に、特別区消防団の活動力の向上についてでございますが、消防団員の構成は、就業形態等の変化により、会社員を初め、主婦や学生の占める割合が増加しており、消防団員の多様化を踏まえつつ、活動力の強化を図っていくことが必要であると認識しております。
 先般、各区の消防団運営委員会において、組織力を強化するとともに、活動しやすい環境の整備を図るため、特定の任務及び活動に従事する機能別団員の拡充や、大規模災害団員の新たな導入について答申がなされました。
 これを受けて、今後は、防火防災訓練指導等に特化した機能別団員の拡充や、大規模災害のみに活動する団員の導入などについて具体的な検討を行うとともに、実戦的な災害活動マニュアルを策定するなど、消防団の総合的な活動力向上に取り組んでまいります。