令和元年第四回定例会、開会中です。
  先週10日(火)代表質問、11日(水)一般質問、13日(金)厚生委員会・議案審査が行われました。

  厚生委員会では、「東京都児童相談所条例の一部を改正する条例」ほか、関連する5件の条例改正案について、質疑を行いました。
  本条例改正案は、荒川区(7月)、世田谷区(4月)、江戸川区(4月)の3区における児童相談所開設にともない、都の管轄から除外するものです。

  児童相談所を区で開設することについては、昭和61年の「都区制度改革の基本的方向」の中で事務移管が示されたことにさかのぼり、以来、様々な議論、経緯を経て、平成28年の法律改正となりました。

  私自身、区議会議員をしていた11~12年前から、子ども家庭支援センターや児童相談所、そのほか行政以外の関係者などから状況を伺ってきましたが、法的に一時保護の権限を有する児相と、その権限を有さない子ども家庭支援センターという虐待通告に対応する二元体制によって生じる課題、弊害を解消、克服することが最悪の事態を防ぐことにつながる、との認識を持っています。

  現実的に、一時保育所に余裕がなく、担当者も案件を多数抱える中では、「緊急性」に対する区と都の見立ての違い、見解の相違が生じることはやむを得ない面もあります。ただ、目黒区の結愛ちゃんも、野田市の心愛ちゃんも、居住地と管轄する児童相談所の所在地が隣接する自治体にあったことは、偶然の一致ではないと考えます。

  児童相談所設置市区は、児童相談所の運営だけではなく、保育施策や社会的養護施策に関わるものなど、児童福祉法で規定された事務を担わなければなりません。こうした事務は多岐にわたり、関連する補助金は、129事業、予算規模約1,500億円であり、事業の全てを法令の規定通りに児相開設区が単独で対応するには負担が大きく、都の引き続きの支援を求めていました。都は、児童相談所の関与の有無によって考え方を整理したとのこと。とりわけ、保育に関するもの(保育所等の賃借料補助や保護士等キャリアアップ補助、認可外保育支援や病児保育事業など、待機児童対策や子育て支援を推進するうえで不可欠な事業については、都が継続して支援することになり、評価したいと思います。

 児相本体の運営費については、都区財政調整協議が行われている最中です。本来は総務省の地方交付税で措置されるもので、4月に設置した明石市においては、兵庫県に含まれていた地方交付税が付け替えられたと聞いています。都は、地方交付税の不交付団体であると同時に、今回の児相開設のような手挙げ方式による措置という面では、清掃事業の事務移管とは状況は異なりますが、虐待対応が社会問題化している中で、安定的な児相運営のためには、何かしらの財源措置が必要だと考えます。

 区児相の開設に向けて、荒川区を管轄する北児相相談所と引継ぎに関わる連絡会議が実施されているとのことですが、今後の個別事案など綿密な引継ぎ、区児相開設後の人材育成広域人材交流定期的な情報共有会議里親委託率向上に向けた取り組みなどを求め、局長から「オ-ル東京で児相相談体制強化に取り組んでいく」と強い決意が述べられました。