○知事(小池百合子君) たきぐち学議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、大規模水害時の広域避難の取り組みについてのご質問をいただきました。
 平成二十七年の関東・東北豪雨、昨年の九州北部豪雨、さらには本年七月の西日本の豪雨など、近年我が国におきまして、毎年のように甚大な水害が発生をいたしております。
 このような状況の中、議員のご地元荒川区を初め東部低地帯におきまして、大規模な水害が発生した場合、百万人以上の都民の生命に危険が及ぶ、そのことから、この地域におけます広域避難は極めて重要な課題となっております。
 これまで都は、広域避難につきまして、江東五区による協議会、そして国の中央防災会議のもとに設置されましたワーキンググループに参加をして検討を進めてまいりました。
 さらに、ことし六月、国と共同で検討会を設置いたしまして、都内自治体や近隣県、自衛隊、警察、消防などの防災機関、交通事業者等とともに、避難場所や避難手段の確保について協議を開始したところでございます。
 先月の検討会におきましては、関係機関の連携や役割を時系列に沿ったタイムラインといたしましてまとめていくことを合意して、現在、具体的な内容についての協議を進めているところでございます。
 いつ発生するとも知れない大規模水害から、都民の生命と財産を守るために、関係者の総力を結集いたしまして、広域避難の取り組みを着実に推進してまいります。
 もう一つが、ライトアップによる魅力向上についてのお尋ね、私に頂戴をいたしました。
 パリなど美しい夜景に代表されますように、まちを映し出す光の美しさは、その都市の大きな魅力の一つとなります。東京が都市としての付加価値をさらに高めていくため、そのためには、夜の景観に磨きをかけていかなければならないと考えております。
 そのため、都は、ライトアップに関しまして、先ほどお話のように、施設ごとの点の取り組みから、周辺の施設を含めた面的な展開へと広げていくために、ことし三月、公共施設等のライトアップ基本方針を策定したところでございます。
 現在、東京二〇二〇年大会に向けまして、大会施設や橋梁、橋が集積する隅田川や臨海部など、東京の顔として発信力の高い地域を重点エリアに設定いたしまして、東京のランドマークとなる施設を管理する国、区、民間企業にも協力を求めながら、集中的に取り組みを進めてまいります。
 また、質の高い効果的なライトアップになるように、光の色合いや色の濃淡などについて照明デザイナーからのご助言をいただいております。
 今後は、こうした取り組みを一過性に終わらせることなく、東京二〇二〇大会のレガシーとして、大会後のエリアの拡大につなげて、人々を引きつける魅力的な夜間景観づくりに戦略的に取り組んでまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、いじめの防止や解決に向けた取り組みについてでございますが、いじめを早期に解決するためには、学校が軽微ないじめを見逃さず、適切かつ迅速な対応ができるよう、教員の鋭敏な感覚と組織的な対応力を高める必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、教員の経験や職層に応じて、いじめ問題への対応力向上を目指す研修を実施するとともに、都内全公立学校において、いじめに関する校内研修の年三回以上の実施を徹底するなどして、子供の情報を共有し、組織的に対応する体制の強化を図っております。
 今後は、都内全公立学校の担当者対象の連絡会等で、子供のSOSの受けとめ方に関する演習を行うなどして、児童生徒理解を深めるとともに、保護者等との効果的な連携のあり方について、実践事例をもとに検証し、各学校におけるいじめ防止対策を一層充実させてまいります。
 次に、いじめの重大事態への適切な対応についてでございますが、重大事態が発生した際は、学校や区市町村教育委員会が法律や条例等に基づき、事実関係の解明や再発防止に向け、それぞれの責務を果たす必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、重大事態が発生した場合の報告のあり方や調査組織の設置における留意点等について示したいじめ総合対策を、都内公立学校の全教員に配布し周知徹底を図ってまいりました。
 また、区市町村教育委員会の担当者連絡会において、法に規定された対応等をわかりやすく図式化した資料を示し、問題解決と再発防止に向けた取り組みが確実に行われるよう支援してきております。
 今後とも、連絡会等で重大事態に至ったいじめを解消することができた事例を共有するなどして、いじめの重篤化を防ぎ、解決を図るための取り組みを一層強化してまいります。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 水害に対応したBCPの作成支援についてでございますが、近年、台風や豪雨等による水害の発生が増加する中、中小企業におきましては事業を継続するためのBCPの導入が進んでいない状況がございまして、特に水害に重点を置いて対応するBCP作成への支援に力を入れていくことは重要でございます。
 都は、現在、BCPの普及啓発を目的としたセミナーにおきまして、浸水リスクのある地域の事業所が実際に水害への備えに取り組んだ事例等を紹介しております。また、水害に対応するBCPの作成に必要となる基本知識を提供する講座を行っているところでございます。また、計画に基づく体制整備等に必要となる止水板等の導入経費を補助しております。
 今後は、水害に対応するBCP作成講座や、BCPに基づいた準備に要する経費への助成の充実を検討してまいります。これらの取り組みにより、中小企業の水害への備えを後押ししてまいります。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害拠点病院の機能強化についてでありますが、都は、首都直下地震等による東京の被害想定で示された負傷者数や病院の収容力などを踏まえ、災害発生時に、主に重症患者の収容、治療を行う病院を災害拠点病院として指定しております。
 本年発災した豪雨災害や北海道胆振東部地震では、医療機関も浸水や停電等による影響を受けており、都におきましても、河川による水害の発生リスクや医療資源の状況など、地域の実情を踏まえて多様な災害への備えを講じていくことが必要でございます。
 そのため、災害医療協議会におきまして、有識者や医療関係者などの意見を伺いながら、災害拠点病院の機能強化等について検討を行ってまいります。
 次に、生活困窮などの課題を抱えるひきこもりの方への支援についてでありますが、区や市が生活困窮者自立支援法に基づいて設置しております自立相談支援機関では、生活困窮者やその家族に対しまして、ひきこもりも含むさまざまな課題への相談支援を行っております。
 ひきこもりが長期化し、生活の困窮や親の介護などの課題を抱えるご家庭やその家族に対しましては、一人一人の状況に応じて、ひきこもりの専門相談機関やハローワーク、保健所、地域包括支援センターなどの関係機関と連携し、きめ細かく支援しております。
 今後も、自立相談支援機関における相談支援の充実に向け、ひきこもりなどのテーマ別研修に加え、具体的な事例集を活用した研修の実施など、区市を支援してまいります。
 最後に、子供の権利の尊重についてでございますが、都は、子供が健やかに成長できる社会の形成を目指し、子供・子育て支援総合計画に基づき、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制の整備や、子供の貧困対策の推進、本人から直接相談を受ける子供の権利擁護専門相談事業など、さまざまな施策を展開してございます。
 現在、子供を虐待から守るための条例の検討を進めており、先般、子供の権利利益の擁護と健やかな成長を図ることを目的とし、虐待の防止に当たっては、子供の成長、年齢等に応じた意見を尊重することや、子供の最善の利益を優先することを理念とした骨子案を取りまとめたところでございます。
 今後とも、全ての子供たちの育ちを支えられるよう、さまざまな施策を総合的に推進してまいります。
〔都市整備局長佐藤伸朗君登壇〕

○都市整備局長(佐藤伸朗君) 不燃化の進捗状況に関する情報提供についてのご質問にお答えいたします。
 木造住宅密集地域の危険性や改善状況などをわかりやすく伝えていくことは、都民の防災意識の向上を図る上で重要でございます。
 都は、昨年度公表した見える化改革報告書や、防災都市づくりの進捗状況において、地域ごとの不燃領域率の推移を初めてグラフでわかりやすく示しました。また、地域危険度についても、町丁目ごとの相対評価のランク分けに加えて、その評価のもととなる危険量を明らかにし、延焼等の危険性について、前回の調査時からの改善状況を把握できるようにいたしました。
 都は、こうした情報をホームページに掲載したところでございまして、年度内にはさらに容易に検索できるようにするなど改善を加え、効果的な情報提供を図ってまいります。
〔青少年・治安対策本部長大澤裕之君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(大澤裕之君) ひきこもりの方への支援についてでありますが、ひきこもりに係る悩みは、今日、多岐にわたってきていることから、関係機関が連携し、年齢によらず、切れ目なく支援することが重要であります。
 こうした支援の充実に向け、都では、従来の取り組みに加え、ひきこもり支援施策推進会議を新たに設置し、各局における支援施策のほか、ひきこもりの状態にある本人やその家族の悩みや課題を情報共有するなど、庁内の関係部署が一体となり支援する連携体制を強化することといたしました。
 今後、福祉、保健、医療、雇用、教育等のさまざまな分野のより密接な連携に努めるとともに、本人の年齢にかかわらず、切れ目なく相談を受ける体制について検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) パラリンピック競技の観戦機会の増加と観戦を促すためのプロモーション強化についてでございますが、パラリンピックを成功させ、障害者スポーツを社会に根づかせるためには、競技や選手について理解を深め、実際に競技会場で観戦していただくことが重要でございます。
 都は、パラリンピック競技の国際大会の開催支援を、昨年度の二件から今年度は五件に増加させる予定でございます。
 大会では、観戦会を実施いたしますとともに、あわせまして、選手と都民が直接交流して、競技や選手、障害等への理解を深める場も提供しております。
 また、ウエブサイトやSNS、イベント等を通じて大会情報を広く発信するほか、地元企業や学校、自治体を個別に訪問しまして観戦を促しているところでございます。
 今後も、多くの都民に会場で観戦していただくため、大会開催支援と観戦促進の取り組みを加速させてまいります。